なぜそうなるか
18歳未満が買取店に物を売るには?——東京都の条例は、古物商が青少年から古物を買い受けることを禁じ、保護者の同意・同行・委託があるときは除くと定めていました
遊ばなくなったゲーム機や、着なくなった服を、手元のお金に換えたい。高校生くらいの年ごろなら、一度は考えることでしょう。
ところが、買取店のカウンターで年齢を尋ねられ、そこで話が止まることがあります。子どもの側からすると、自分の物を売るだけなのに、なぜ断られるのかが分かりにくいところです。
親の側にも、別の心配があります。子どもが知らないうちに物を売っていないか、売るときに何が要るのか、という点です。
この線は、店ごとの気分で引かれているわけではありません。東京都の場合、青少年の健全な育成に関する条例が、古物商の買い受けに決まりを置いています。
一方で、成年の年齢は民法が決めています。条例の「青少年」と民法の「成年」は、同じ18歳を境にしていました。
そこで、東京都の条例の第15条、警視庁の「東京都青少年の健全な育成に関する条例の概要」と「非対面取引における確認の方法」、民法の第4条を並べました。読んだのは東京都の条例だけで、ほかの道府県の条例は読んでいません。特定の店を選ぶための記事ではなく、買取の価格も扱いません。
・東京都の条例は、古物商が青少年から古物を買い受けることを禁じている(第15条2項)
・保護者の委託、同行、同意があると認められるときは、この禁止は適用されない(第15条3項)
・警視庁の概要は、青少年を18歳未満の者としている
・非対面の取引では、1万円未満でも18歳未満からの買い取りでないことの確認が要る(警視庁)
・民法は、年齢18歳をもって成年とすると定めている(第4条)
18歳未満は、買取店に物を売れないの?
高校生だと、買取店では売れないの?
東京都青少年の健全な育成に関する条例の第15条は、見出しが「質受け及び古物買受けの制限」です。その2項が古物商についての定めでした。
古物商(古物営業法(昭和二十四年法律第百八号)第二条第三項に規定する古物商をいう。以下同じ。)は、青少年から古物(次条第一項に規定する物を除く。)を買い受けてはならない。
主語は「古物商」です。売る側の青少年ではなく、買い取る店の側に向けた決まりとして書かれていました。
同じ条の1項は質屋について、青少年から物品を質に取って金銭を貸し付けてはならないと定めています。買取と質入れが、同じ条に並んでいる形です。
「青少年」は何歳までを指すの?
警視庁の「東京都青少年の健全な育成に関する条例の概要」は、冒頭で年齢の線を示していました。青少年とは、18歳未満の者をいいます
この記事で読んだ範囲では、17歳までが「青少年」の側に入り、18歳の誕生日を迎えるとこの条の対象から外れる、という読み方になります。個々の人がどちらに当たるかは、この記事では判断していません。
保護者が一緒なら、売れるの?
親がついて行けば、買い取ってもらえる?
条文は、例外を3つの形で書いていました。
「委託を受け」「同行」「同意を得て」の3つのどれかがあれば、禁止の外に出る組み立てです。どの形で同意を示せば「認められる」のかは、条文には書かれていませんでした。前二項の規定は、青少年が保護者の委託を受け、又は保護者の同行若しくは同意を得て、物品の質入れ又は古物の売却をするものと認められるときは、適用しない。
警視庁の概要は、同じ内容を短く言い直しています。
質屋、古物商は保護者の同意等を得ていない青少年から、物品を質受けしたり、古物を買受けてはいけません。
続けて、概要は「但し、保護者の委託等があった場合は除かれます。」と添えていました。店が同意の確かめ方として何を求めるかは、店ごとの手続きの話になるので、この記事では扱っていません。
店が断らなかったら、罰を受けるのは誰?
警視庁の概要は、古物の項目の終わりに罰則を書いていました。
この一文は、質屋と古物商の買い受けを説明した段の終わりに置かれていました。段の見出しは「青少年は、正当な理由なく質屋や古物商に物品を質入れ、売却することはできません」です。売った青少年の側への罰則は、読んだ範囲には書かれていませんでした。警告に従わず違反した場合は、30万円以下の罰金に処せられます。
店以外の人にも向けた決まりはあるの?
店以外の人が、代わりに売ってあげるのはどうなの?
2項と3項が古物商と質屋に向けた決まりであるのに対し、4項は主語が「何人も」に広がっています。言い回しは「努めなければならない」で、2項の「してはならない」とは形が違いました。何人も、正当な理由がある場合を除き、青少年から質入れ又は古物の売却の委託を受けないように努めなければならない。
どんな場合が「正当な理由」に当たるのかは、条文には挙げられていませんでした。
ネットの宅配買取でも、年齢は確かめられるの?
顔を見せない宅配買取なら、年齢は関係ない?
古物営業法には、総額1万円未満の買い受けでは相手方の確認を原則として要しない、という仕組みがあります。その仕組みと、年齢の確認は別の話として書かれていました。
1万円未満であっても、18歳未満の者からの買い取りでないことを確認する必要があります。
同じページは、確かめ方の例として、メールやメッセージ機能を使うことを挙げていました。非対面の取引で本人を確かめる方法そのものは、買取店で身分証を求められる理由をまとめた記事で、古物営業法の第15条から整理しています。
成年の年齢は、どこで決まっているの?
18歳は大人なの? まだ子どもなの?
民法の「成年」と、東京都の条例の「青少年」の線は、どちらも18歳にそろっていました。ただし、条例は店の買い受けを制限する決まりで、民法の成年は契約などの行為の扱いを決める規定です。二つは目的の違う決まりとして読みました。年齢十八歳をもって、成年とする。
未成年者が保護者の同意なく結んだ契約をどう扱うかは、民法の別の条文が定めています。この記事では、その条文の当てはめは扱っていません。
この記事で確認したこと
・古物商は、青少年から古物を買い受けてはならない(条例第15条2項)
・保護者の委託、同行、同意があると認められるときは適用されない(同3項)
・何人も、正当な理由がある場合を除き、青少年から売却の委託を受けないよう努める(同4項)
・青少年は18歳未満の者(警視庁の概要)、違反して警告に従わない場合は30万円以下の罰金
・非対面では、1万円未満でも18歳未満からの買い取りでないことの確認が要る(警視庁)
18歳未満の人が物を売るときは、保護者が同行するか、同意を示せる形を先に整えておくと、店の側の確認と話がかみ合います。
よくある質問
17歳ですが、自分のお金で買った物でも売れませんか
東京都の条例第15条2項は、古物商が青少年から古物を買い受けることを禁じており、誰のお金で買った物かによる区別は書かれていません。保護者の委託・同行・同意があれば3項の例外に入りますが、個々の場合がどれに当たるかは、この記事では判断していません。
ほかの県でも同じ決まりですか
この記事で読んだのは東京都の条例だけです。道府県ごとに青少年の健全育成に関する条例があり、中身が同じかどうかは確かめていません。お住まいの都道府県の条例か、警察の案内をご覧ください。
保護者の同意は、どう示せばいいですか
条例の第15条3項は、保護者の同意を得て売却するものと「認められるとき」と書くだけで、示し方は定めていません。店が同意書や電話での確認を求めることがありますが、それは店ごとの手続きなので、売る前に店に尋ねてください。
この整理が変わる条件
- 東京都青少年の健全な育成に関する条例の第15条が改められた場合
- 警視庁が条例の概要や、非対面取引における確認の方法のページを改めた場合
- 民法の成年の年齢が改められた場合
出典
- 東京都例規集「東京都青少年の健全な育成に関する条例」(第15条) https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00002150.html
- 警視庁「東京都青少年の健全な育成に関する条例の概要」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/about_mpd/keiyaku_horei_kohyo/horei_jorei/ken_iku.html
- 警視庁「非対面取引における確認の方法」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/tetsuzuki/kobutsu/kaisetsu/hitaimen.html
- e-Gov 法令検索「民法」(第4条) https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
売る前に、年齢と保護者の同意について店の手続きを尋ね、ほかの道府県ではその地域の条例を確かめてください。
当方が上の出典を引いて確かめた日: